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月蝕島の魔物 (ミステリーYA!)

価格:¥ 1,470
月蝕島の魔物 (ミステリーYA!)
定価:¥ 1,470
価格:¥ 1,470
著者: 田中 芳樹 
(出版社)理論社 / 2007-07
発送可能時期:通常24時間以内に発送
売上ランキング:167508
売上おすすめ度:
 
カスタマーレビュー:
  • おすすめ度: 胸が熱くなった
    ビクトリア朝時代を舞台にした怪奇冒険譚。
    著者の「ラインの虜囚」辺りが好きなら、まず買いだろう。
    さすが、ベテラン作家!
    アンデルセンやディケンズといった歴史上の人物を
    独特の解釈で描きつつ、エンターテイメント性高く
    全体としてよくまとまった良作。

    特に、ヒロインがミューザー良書倶楽部で
    働くことになる下りが、好きだった。
    本が非常に高価なもので、信用できる貸本屋で
    借りて読むのが一般的であった時代。
    蔵書数150万冊、ヨーロッパ最大の高級会員制貸本屋である
    ミューザー良書倶楽部に初めて足を踏み入れたときのこと。

    「すごいすごい、見わたすかぎり全部本よ!」
    目をかがやかせて、書棚の前をいったりきたりする。
    つづく社長とのやりとりで、彼女は言う。
    「本がなかったら生きていけません」

    非常に個人的な感想かもしれないが
    社会人となって時間に追われ、自分は読書の楽しみを
    忘れることもしばしばだった。
    しかし、この本の中で出会ったヒロインは
    少年時代の自分そのもの。
    胸が熱くなって、ふいに泣きたくなった。

    本書はミステリーYA!というシリーズ名にあるように
    理論社がヤングアダルト向けに出している。
    活字離れの進む若い世代にとって、本の楽しみを知る
    きっかけになってくれることを祈る。

  • おすすめ度: 魔物、必要ですか?
     全体的に、内容としては充実していると思います。
     よくよくお調べになって、「一般の日本人は、こう思っているだろうけど、史実は、こうなんですよ」と、田中芳樹流、必殺の金科玉条を拝読することも出来ました。
     大変、勉強になりました。

     しかし、冒頭からの伏線通り、しっかり最後に魔物が登場いたしますが、この構成配分は、タイトルが「月蝕島の魔物」というわりには、魔物を巡る割合は、相当、あっさりしており、文章の問題というよりは、ハリウッドの映像作家(ジョージ・ルーカスとかです)が脚本を書いた時の、およそ、映像では何10分も費やすであろう戦闘、アクション・シーンを、たった一行「凄まじい戦い」「地獄のような光景」で、済ませてしまうにも似た、奇妙な感覚を味わってしまいました。

     この作品に、魔物‥‥‥いりますかね?

     要は、様々な人間模様の中で、ディケンズが言うところの「人は自分の裡に棲む魔物を飼いならさなくちゃならん」という言葉に、物語的にも、テーマ的にも集約して、あの魔物は、まあ、添え物のようなもの、と、考えれば‥‥‥まあ、納得は出来ます。おっしゃりたいことも判る、つもり、です。

     全体評価として、良作とは思いますが、物語の中で、重要な役割りを占める、ミューザー良書倶楽部に置けるかどうかは、いささか検討の余地ありと愚考します。それは、タイトルの「煽り」と「内容」に著しい乖離が見受けられるからです。企画として、しょうがなかったのかも知れませんが、読みごたえがあるわりに、中途半端な印象が残ります。構成と配分に問題があるのではないでしょうか。

     アンデルセン曰く「ぼくは生きています。埋めないで」。
     アンデルセンのように泣きわめくほど、落ち込むことはないと思いますので、時折りは、くだらないと思われても、書評は、読まれた方がよいと、個人的に愚考します。

  • おすすめ度: 久しぶりのクトゥルフもの
     理論社がヤングアダルト向けに出しているシリーズの1冊。著者はこの年齢層向けのヨーロッパ近代ものに以前から取り組んでいる(アップフェルラント物語、ラインの虜囚、カルパチア綺想曲など)が、本作もその系統のものとして考えることが出来る、なかなかの良品である。大量に仕入れた雑学を挿入しつつ軽快に書いていく筆致は手慣れたもので、安心して読むことが出来る。タータンチェックが普及する年代やスペイン無敵艦隊の呼び方など、日本人がきちんと資料を調べずに書くと失敗しそうなディテールも、確認したらちゃんと考証が合っていた。この辺は流石だ。

     プロット的にはジャレド・ダイアモンドの『文明崩壊』の7章と8章(邦訳は上巻所収)からインスピレーションを得て、『冬の迷宮』以来久しぶりとなるクトゥルフ神話ものを構築したというところか。主人公が軍人上がりで老境に差し掛かってから若かりし頃を思い返して手記を書くというスタイルや、これまでの著者のそれとはちょっと雰囲気が違う、華麗さの欠片も無く凄惨な戦場描写など、レベルテの「アラトリステ」シリーズに似た印象も受けたが、あんな超マイナーな本を著者が読んでいるとは考えづらいので、他人の空似というやつだろう。

  • おすすめ度: 史実が面白い
     歴史小説的冒険物、書かれている史実もおもしろい。しかし、中だるみになってしまい、それが最後まで継続してしまった。ディッケンズ、アンデルセンの個性がもう少し表現されれば全体にしまった作品となっただろうにと、残念に思う。
     ルビの頻発といい、挿絵といい、青少年を対象とした作品なのかとも思ったが、どうなんだろう。

  • おすすめ度: 良いシリーズとなる予感がする。
    「ラインの虜囚」の20年後、 「カルパチア綺想曲」の40年前のイギリスのお話。
    3部作の1作目で良いシリーズとなる予感がする。
    歴史物のセオリー通り史実にフィクションを織り交ぜて単なるお子様向けでなく、
    クオリティの高い物語で、残りの2部も楽しみになる。
    「ラインの虜囚」より気の利いた(メッセージ性のある)会話が少なかったけれども、
    怪奇冒険譚であって、エンターテイメントだから、まあ良いか。
    第八章になってやっと姿を現す怪物は、姿から旧支配者の系統かと思ったが、
    初期の薬師寺涼子の怪奇事件簿シリーズに連なる系統の怪物なのかも。

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